狂愛ゴング


校門を出て、最寄り駅まで徒歩25分。
普段はここでバスに乗って帰る。けれど今はアイスを食べるために駅の近くの繁華街を歩いている。

なんで学校の近くがこんなに栄えているんだと文句を言いたくなる。
いやしかし、電車で移動とかだったらそれこそ最悪だっただろう。

学校を出るまでも、こうして街中を歩いている間も、周りの視線をビシバシ感じるんだから。

ただ歩いているだけなのに、こんなにも視線を集める。
後ろ姿でさえ人を引きつけるのは、後ろをついて歩いているとよくわかる。

モデルとかになればいいんじゃね、こいつ。
性格がクソすぎて世間に害だから、せめて容姿だけでも世間に役立てればいい。


ぶつぶつと文句を言いながら歩いていると、突然足を止めた新庄の背中にどすんとぶつかった。


「うわ、きったねえな」

「……あんたが急に立ち止まるからでしょ!」

「テッカテカの油俺につけんなよ」


し、失礼な!


「なんなのよ」

「さっさと歩けブタ」


——……!! ブタ……!? ブタ!?

悪いけどブタと呼ばれるほど太ってないわよ! 


「あんたが歩くの早いんでしょ!」

「ああ、俺の足が長いから。ブタの足では無理か」

「あんたの近くを歩きたくないのよ! 性格の悪さが移りそうでね!」


あんたと一緒にいるだけでもいやだっていうのに。


「そんなもん移るわけねえだろ、バカじゃねえの」


わかってるわよそんなこと!
あんたと一緒にいることで物好きな女だと思われたくないのよ!
私はいたって正常な可愛い女の子なのよ!