狂愛ゴング


「——し、新庄……」


悪の根源め。滅しろ。

にこやかな顔して。中身はドロドロの泥でできてるくせに。

っていうかなんでいるんだよ。帰ったんじゃなかったのか。

早速仕返しに来るとかどんだけ心がせまいんだ! こっちも心の準備ができてないっての!


「プリント汚して先生に怒られたお詫びに、なんかおごろうか?」


上機嫌な顔して私を見るけれど、絶対なにか企んでいるに違いない。でなければ、私のクラスにまで来るはずがない。しかも、私をわざわざ待ってたっぽいし。

そんなに気に入らなかったのか。なんて器の狭い男だろう。粘着質だ。


「いりません」


これ以上関わり合いたくない。

出来たら今日だって何事もなく終わりたかったって言うのに……なんでこんなことになってるんだ。

たった数時間で今までの1年半が無駄になってしまったことにやけくそになってきた。

もうどうにでもなれ。その代わりもうなんでも口にしてやる。


「なあ、これ、提案じゃないし、お誘いでもないんだけど?」


なに言ってんだこいつ。
意味分かんないし、関わる気もないし、とふいっと顔を背けて、新庄の傍を、なるべく目を見ないように通り過ぎようとしたとき。

——ドンっ

と行く手を間れた。

目の前は、足。ドアのガラスが振動でビリビリと揺れる。

野蛮人め! ドアで人の進路を妨げるとか! はやりの壁ドンならまだしも! なんですか長い足がご自慢なんですか。今すぐ複雑骨折しろ。