狂愛ゴング


「誰が素直になれないって? お前にいわれたかねえな! 何度だって言ってやるよ! ああ、好きだね好き好き。お前が思う以上に俺の方がお前のこと好きだから、感謝でもすれば付き合ってやらなくもねえよ!」


だーれがいうかああああ!
調子乗るなよクソ野郎が。意味わかんねえよ!


「私の方が好きにきまってんでしょうが! 私の方が先に素直になったし! 馬鹿じゃないの? さっさと俺は素直になれない馬鹿です、すみませんって土下座しなさいよ!」

「するか! そんなもん! お前がしろ」


いぎぎぎぎぎ! むっかつく……!!!
どの口がそれを言うの! ひねくれ者の代表の癖して!


「いや、だからお前ら……なんのケンカしてるんだよ」

「やめとけお前、とばっちり食らうぞ」


うるせえ! 隣で聞こえた男の声に、ふたり同時にぎろりとにらんだ。
とばっちり食らわせるぞ!


「俺の方が好きだからな」

「私の方が好きに決まってるでしょ?」

「お前みたいな意地っ張り好きになるような男俺くらいだから感謝しろ」

「あんたみたいな鬼畜相手できるくらい好きになれるの私以外いないわよ」


好きだって言ってやってるのになんだこのこいつの偉そうな態度は!


アイスぶっかけられて、ひどいこと言われて、寿命まで何度も縮んで水までかけられて、それでも好きだって思うなんて……。

本当に私頭おかしいと思う。

でも、こうやってケンカできることを楽しいと思っている。むかつくし怖いし顔も見たくないって思うのに、もっとやっていたいと思う。

狂ってる。
でも、もうそんなことどうでもいい。
開き直ってしまって、言いたいこと言う方が、私らしい。

いつまでだって続けてやる。


「俺の方が好きだって認めさせて土下座させてやるからな」

「望むところだね! 反対にめり込ませてやる!」


負けるもんか、勝つまでは。