「へー言えないの？ じゃあいいよ」
そんなのどっちでもいいよじゃあ。
どっちにしたって、私は負けないから！
「私は新庄のことが好きだけど？ 新庄は素直になれなくて言えないんだね。あーそう。素直な言葉も言えないんだ。へー新庄は自分の気持ちも言葉に出来ないへたれなんだね。弱虫は新庄じゃない」
言ってやるよ。
あんたが好きだってことくらい何度だって言ってやるよ。
負けることに比べたら、あんたに惚れたバカな女でいるほうがよっぽどマシだ。
「……はあ！？」
「なに？ あんたが聞いたんでしょう？ “俺が好きなのか”って。素直になれない私に苛立って怒ったんだよねえ？ だから言って“あげた”のに、新庄は言えないんだー」
くすくすと笑いながら偉そうに言う私に新庄が驚きと苛立ちの顔を見せる。
ねえ、顔が少し赤く見えるのは気のせい？
「お前……ほんっといい性格してるな」
「褒め言葉？」
あんたを負かすならいい性格してるなんて最高の褒め言葉じゃない。
「……お前らなんの会話をしてるんだよ」
隣で聞いていた友達らしき男の子が首をかしげながら独り言のように呟いた。
なんの会話か？ 勝つか負けるかの会話ですけど？
「……どうする？」
「……なにが？」
「終わらせる？ 続ける？ あんたが私を好きで、どうしてもって言うなら……付き合ってあげなくもないし、あんたが私を好きだって言えないなら、別れてあげてもいいよ？」
「誰がそんなこと言ったよ、ああ？」
私の言葉にぴくりと眉をひそめて私の方に少し寄ってくる新庄に若干後ずさりしたい気持ちが芽生える。
身長がでかいってそれだけで結構特よね。
