バン! と力一杯に新庄のクラスのドアを開けた。私の目に一番に飛び込んでくる新庄の顔。やっぱり来ていたな、と思うと不敵な笑いが込み上げた。
新庄は私を見て、少し驚きつつも……相変わらず冷めた視線を送ってくる。
上等じゃないか。
クソ野郎。
なにも言わずにすたすたと新庄の元に歩み寄る私を、周りの生徒たちは道を空けてゆく。
「なんだよ」
「あんたわたしのこと好きなの?」
目の前に、新庄の全てを塞ぐように立つ。逃がしてやらない。どんなことをしても逃がさない。
私の言葉に、新庄は目を少し大きくさせて「はあ?」と呆れたような声を出した。
新庄が私のことを好きだと……確信がある訳じゃない。ただそう感じる。それだけだ。
素直じゃない私が嫌いだけど面白い、だけど素直に好きだと言わない私にも苛立っているんじゃないかと、感じるだけ。
私が好きだと言って、それに優越感に浸って笑っておちょくるつもりだったんだろう。
惚れるなと、そういったのに惚れた私を馬鹿にして、楽しそうに笑うつもりだったんでしょ?
自意識過剰だと思いたいなら思えばいい。
この予想が違ったところで、今の私にはどうでもいいんだよ。
私はね、自他共に認める負けず嫌いなの。
ここまでされて馬鹿にされて水かけられて、それでも黙っていられるような可愛い女の子じゃない。たとえ、あんたのこと好きでも。
ちがっていたっていいよ別に。間違っていたらその時はその時。
その時でだって私は負けてやらないけどね! とことん戦ってやるんだから!
「好きなら好きって言えばいいのに」
「馬鹿じゃねえの? ブスが」
はん! と笑い声が聞こえるような顔をして言い放つ言葉に若干ぐっさりと胸をえぐられるけれど……。意地でも引いてやらない。



