狂愛ゴング


——『覚えてろよ?』


やばい、即刻忘れたい。
今すぐ記憶から抹消したい。ついでに新庄の記憶からも私を抹消して欲しい。


「……まずったな」


うん、多分、間違いなく……。

これはどう考えても……今までの経験から考えると……ヤバイ。

また、やってしまった。


「は、はは……」


乾いた笑いを上げて、ふらふらと裏庭を後にする。

一体新庄になにをされるのか。私の清い心では全く想像できないんですけど……。

笑っていなきゃやってらんない。お先真っ暗になるだろうこれからの高校生活なんて想像したくもない。





やっとのことでたどり着いた職員室のドアをノックしてとぼとぼと中に入る。

これをここまで持ってくるだけでなんでこんなにつかれる羽目になったのか。

はあっとため息を落としながら担任のところまで歩いて行って、プリントの束を渡した。


「お、おつかれ」


ほんとだよ。
ちょっと頭の薄くなった先生を見下ろして文句のひとつくらい言ってもいいような気がしてきた。

どれだけ大変な道のりだったか……。


「お前なんだこれ!」

「あ」


さり気なく中に混ぜたのに……! 目ざとく見つけられた!
さっき新庄にグチャグチャにされたプリントを取り出して、先生が私に魅せつける。


「お前!人のアンケート用紙こんなにぐしゃぐしゃにしてなに考えてるんだ!!お前はそんなんだから!」

「わたしのせいじゃないよー!」

「ひとのせいにするな!」


……理不尽だ。
この世は理不尽なことだらけですね。