とはいえ、そんな私の心の叫びなんか気づくはずもなく、彼女は私の目の前に座り込んだ。私の返事はどうでもいいらしい。
私の周りには私の話を聞いてくれる人はひとりもいないのかもしれない。
余りにも重い雰囲気に、食欲もなくなりそう。お弁当もまだ半分しか食べてないのに……。
「あんた……新庄くんのこと、本当に、好きなの?」
「は?」
真剣な眼差しにたじろっていると、彼女の口から理解不能な言葉が吐き出された。
……好き? 好き? 好き? 私が……新庄を……。
「いや、まさか……」
まさか! 惚れるわけ無いって言ってるでしょうが!
そのネタはさっき終了したんですけど。
「あんたが、本当に新庄くんを好きで、新庄くんが、あんたを好きなら……もういいよ」
もういいってなにが?
っていうか色々言葉が理解出来ないのですけれども!
「いや、え? ちょっと……意味が分からないんですけど……?」
「嫌々付き合ってるんだから、そのうち別れると思ったのに。ただ興味で付き合っているだけだと思ったのに……」
ぷいっとふてくされた顔をする彼女。
なんだ。なんなんだ一体。
「なんであんたなんかを……」
いや、でもそんなことより。
「……あんた、もしかして……新庄のこと本当に……」
「……っうるさい! うるさいうるさいうるさい!」
……そんな必死に遮らなくても……。
目の前で耳をふさいで叫ぶ道江さんに、さすがに苦笑が漏れる。
なんだこの人……やっぱり新庄のこと、本気で好きだったんだ。



