「っていうか、あんた弁当無いの?」
「俺んち共働きだから」
ふーん。こんな鬼畜の王様を産みだした両親ってどんな感じなんだろう。この男家でも暴言吐きちらかしているんだろーか。
っていうか、こいつから生活臭ってあんまりしないな。
普段どんな生活送っているんだろう。家にいる新庄とか……うわ、ほんとにイメージ出来ない。お母さんとか呼んでんのかな。お母さんに怒られたりするのかな。
「なに? 彼氏の体が心配とか?」
「……あんたが食べ物ごときで体を壊すような繊細な持ち主には見えないけど」
この男に"彼氏”だの"彼女”だの口にされるとなんだか落ち着かない。
そんな気持ちを悟られないように言葉を返すと、新庄はなにも言わずに、じっと私を見つめた。
……な、なんですか。
「お前、思った以上に、面白いよなあ」
しみじみ言わないで……!
なんか複雑だし、私はちっとも楽しくない!
ち、と舌打ちをしながらご飯を食べ続ける。
しばらくすると、なんだかチクチクと視線を感じてきて、そわそわしてきた。
「……ねえ」
「気にすんな。そしてしゃべんな」
「あんたも気づいてたの?」
実は、ここに来た時から感じていた視線。時間が経つに連れて、落ち着かなくなる。
見ているだろう人のほうを見ずにこそこそと新庄と話す。
この裏庭は、上の階からはまるみえなんだっけ。確かに意識してあたりを見渡せば、校舎の上のほうの窓が見える。
その方向に、さっきちらりと見えた。そして今もこっそりと視線だけ動かせば見える、彼女の姿。
……新庄はいつから気がついていたのだろう。



