狂愛ゴング


「陰気な顔してんじゃねえよ。飯がまずくなるだろ」

「あんたが目の前にいるからだよ」


陰気にもなりたくなる。
なんだこの自分の気持ち。


「ねえ……なんで急に……」

「話すなら腹から声出せよ、うっとーしいな」


文句言うしかその口使えないんですかね、この男は。


「なんで! きゅうに!」

「あーうっせ、ほんっと脳みそ腐敗してんじゃねえかお前」


本当にむかつくなあ……。ちくしょう。


「なんで急にお昼に来たの」

「別に。いやがるだろうなって思って? あと会いたくて」

「会いたくて、絶対適当に付け足してるよね」


ぴくぴくっと引きつる私の顔を見て、新庄は楽しげに微笑む。

笑うな馬鹿。お前にはいやらしい笑いの方がお似合いだ。

そんなふうに、楽しそうに、純粋に楽しそうに、笑わないで。


「なんで……私ひとりだけに……今までみたいに誰彼構わず……最低な態度してればいいのに」


ぱくっと卵焼きを口に含んで告げた。
出来るだけ、深い意味を感じさせないように……。出来てないような気はするけど。


「お前、自分の彼氏が誰彼構わず女を泣かすような奴でいいの? お前も大概最低だな」

「今までの自分を振り返れ!」


今までどんなことを繰り返してきたんだと思っているのか。
馬鹿ですか。ハトですか金魚ですか。

都合のいい記憶は忘れちゃうんですね! 器用ですね。羨ましいよ。