狂愛ゴング


騒がしい廊下に戸惑いながら、とりあえずふらふらと新庄の背を追いかける。 ……ただ、断る口実。
きっとまた彼女を傷つける為だけ。

それだけのセリフなのに、なんでこんなに……。

ちらっと後ろを見ると、女の子は友達に泣きついていた。
ただ、失恋をした、そんな彼女を、友達が抱きしめる。


……傷つける為ならば、……あんなふうに言わないだろう。
昨日も、今日も。新庄の言葉には、その奧の感情がいつもとちがって感じる。

相手を傷つけるためじゃない。

私を見下ろす新庄を目が合うと、新庄は笑いを堪えるような顔をした。

私の、反応を見るため……なんじゃないだろうか。多分そう。絶対、そう。
それ自体にはムカツクのに……。胸がムズムズして気持ちが悪い。


——『ほれるなよ?』


うっせーあほ!
頭の中にまで新庄の声を聞かせるな! あほあほ!

浮つく心と、同時に感じるこの苦しさ。

また馬鹿みたいに涙を流してしまいそうになって、ぐっと唇を噛んで、新庄の背中から視線をそらした。


「……あ」

「あ?」


いや、おめえじゃねえ。
私の声に反応する新庄。私の呟きにまで反応しないで。

私の見ていた方向に気づいた新庄が、私と同じようにとあるクラスの中に視線を移した。

そこには、以前私とバトルをした、えーっとなんだっけ? えーっと名前出てこないけど。髪の長い女の子。

えーっと誰だっけ。

じーっと見つめて名前を思い出そうとする私。
そして……そんな私を、彼女はギロリと睨んできた……。


「え?」


なんで? まだ睨まれるの? アレからもうなにもなかったのに? なぜ?

そのままふいっと背を向けられて、なにも反応が出来なかった。多分彼女の目に私はアホ面した猿のように映っていただろう。

そして、気づく。

まわりの女の子からの……鋭い視線。