狂愛ゴング




刻々と進んで行く時間を止める魔法とかないのかしら。
そんなことを考えていると、1時間というのは早いものですね。


「あれ? 澄お弁当は?」

「食欲ないっすー」


いや、あるけど。食べるけど。
正直食べたらまた放課後に1歩近づくんじゃないかと思ってしまって……。

食べなくても進むのは分かってるけど、悪あがきぐらいさせてほしいんですよ。


「今日は新庄と食べないの?」

「……今日はって。いつも食べてないわよ」


泰子の言葉に顔を上げて答えると、泰子は「でも、あそこ」とドアを指さした。

……は?

さすがの私もなかなか勘がよくなってきたのか、ぞくぞくと寒気を感じる。
背後から冷気を! 冷気を感じます!

ま、まさか……。

ゆっくりと振り返ると、ザーッと血の気が引くのを感じた。


「……なんで……」

「さっさと来い、お前。弁当投げるぞ」


振り返って固まる私に、新庄の苛ついた声が届く。

まあ新庄が苛ついてない時なんか一度もないか。万年カルシウム不足だこいつは。

っていうかなんでいるんですかー? ストーカー!? もしかしてこの人ストーカーなんじゃないですか!


「弁当持ってないクセに……」

「あ?」

「ナンデモナイデス!」


なんでそんなに耳がいいのか。
席にいるまま呟く声を拾って新庄が、えらそうにふんぞり返る。

っていうかなんで急にお昼に来るんだ。
なにしに来たんだ! 今まで昼に教室に来たことなんてなかったじゃないか!