初めての花火

「暁(さとる)君、何言って……!? って、確かにそうかもしれないけど」


優衣もちょっと認めちゃっているし。まあ別に良いけどさ。

付き合っていないと言えば嘘になる訳だし。


「それにしても、ヒイラギも何時の間に大胆になっちゃって。お姫様の手、離そうとしないんだもの」


私の片手は何事もなかったかのようにこうしてお喋りをしている間も、

ずっとヒイラギに握られたままだった。

私が慌てて振りほどこうとしても、彼は微動だにせずただずっと私の手を離そうとはしなかった。


「ヒイラギ、お前本当に岩代の事が好きなんだな……」


なかなか手を離そうとしないのもきっとヒイラギなりの愛情表現なんだろう。

でも何も言わないで、ただ黙って倉山兄弟に言いたい放題言われるのもどうかと思う。