初めての花火

「食べかすが付いていたから」


……付いていたなら取ってあげるとか、拭けよとか言って欲しい。

あれではいきなりすぎて心臓がドキドキしてしまう。

「ヒイラギ、やっぱり本当に君は……」


サトルの言いたい事は分かっている。確かにヒイラギは大胆になったと思う。何時の間に?

なかなか上がらない花火を待ちながら、話題はヒイラギが花火初体験と言う話になる。

彼は写真でも花火を言う物を見た事がないらしい。

ただ音だけは聞いた事があり、その五月蝿さがヒイラギにとっては堪らなく嫌だったそうだ。

倉山やサトルは見ていると言うのにヒイラギだけは見ていないなんて。不思議な話だ。


「じゃあ夜見君って花火ってどんな物だと思っているの?」

「爆弾」

優衣の問い掛けにほぼ即答で答えたヒイラギのその答えに、私は勿論倉山兄弟も吹き出している。

確かに爆発するけどストレート過ぎる。本当にヒイラギは花火を知らないんだなあ。