( 母様は、もう戻ってこないの? )


大好きだった彼女が亡くなったあの日、震えた手で 彼の手を握り締めていた。
強く、その手を握っていないと、彼も――――父様も 何処かへ行ってしまうんではないかと思ったから。


( 大丈夫、シンデレラを一人にはしないよ )


暖かい その手で、優しく頭を撫でながら 彼はそう言った。


確かに、そう言ったのに――――・・・・・

新しいお母様とお姉様と一緒に、新たな生活が始まってから 三年後、


( ごめんね、シンデレラ )


あたしが眠るとき 最後に彼はそう呟いて、


( ・・・・・父様? )


次の日には、屋敷から姿を消していた。