「……ヒックッ」


「麻衣?ちょっとどうしたの?」


「……ううん。なんでもないの」




お母さんの料理を食べたせいか、涙が止まらなかった。


それはずっと忘れていた"お袋の味"ってヤツで、一口食べただけで懐かしく感じる料理だった。




「……そんなにマズかった?」


「違うの……そうじゃない」


「じゃあなんなの?」


「……懐かしい味がしたから」


「え?」


「懐かしい味がしたから、昔のことを思い出しただけだよ。……もう大丈夫」




お母さんのつくるみそ汁が好きで、よく作ってと言っていたのを覚えてる。