「……バッカみてぇ」 でもどれだけサイテーでも、母親だってことに変わりはない。 ……例えどれだけ憎い相手だととしても、どれだけサイテーな人間だとだとしても。 "母親"だってことに変わりはないんだ。 「来ないでっ!!」 そしてその時、聞き覚えのある声が廊下から聞こえてきた。 「……笹川?」 俺はゆっくりと廊下に出た。 「……っ?!」 そしてそこには―――… 「お願いだから来ないでっ!!」 カッターを持ったまま廊下でそう叫ぶ笹川が居た。 「笹川やめろ!!」