「……あたしはあの人を絶対に母親だなんて認めない」 笹川はそう呟き、ゆっくりと顔を上げた。 「……笹川」 「もう帰ってください。……いまは一人になりたいんです」 「……わかった。じゃあな」 そのあと俺は窓の外を見つめる笹川に視線を向け、そのまま笹川の家を出た。 ―――――… 「……愛のない、結婚か」 笹川の母親は、たしかにサイテーだと思う。 自分の地位とお金のために、わざわざ愛のない結婚をしたんだから。 ……でもその結婚は全部、自分の地位と権力を守るための最終手段ってわけか。