「……行こう、麻衣」 「うん……」 俺は必死で涙をこらえて、階段の隅に隠れた。 ……笹川、ごめんな。 心の中でそう呟きながらひたすら笹川が居なくなるのを待った。 でもそれと同時に、笹川を傷つけたくないという考えが頭をよぎっていた。 ―――――笹川が傷つかない方法はなにかないのだろうか。 そんな考えを持っていても、結局はなにも変わらないのが事実だ。 いくら好きでも、やっぱりそこに見えない壁はあるんだな。 好きになればなるほど、傷つく痛みは深くなる。 それと同時に俺の心の傷も深くなる。