「咲哉?」
「……ん?」
「どうしたの?……なんか浮かない顔してるけど」
「……いや、なんでもない」
「ふーん。ねぇつぎ移動教室だよ」
「……ああ、先行っててくれ。あとから行くから」
「うん……わかった」
仁科が教室から出て行ったあと、俺は一人教室の窓からグラウンドを眺めていた。
仁科は俺を好きだって言う女で、俺にその気がないとわかっているのに仲よさ気に話し掛けてくる。
「……笹川、どうしてんのかな」
あの日からずっと、笹川のことが気になってしょうがない。
……笹川のあの日の言葉も気になるし。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…