「……これなに」


目の前に差し出されたモノを見て、それしか口が開けなかった。




「見てわかるだろ?結婚指輪だよ」


「……なんでこんなモノつける必要があるわけ」


「なんでって……俺たち"夫婦"だろ?」


「夫婦だからって別にこんなのつけなくたっていいんじゃないの。てゆーかつける必要ないでしょ」


「なんで?」


「そんなモノつけたってなんの意味もないじゃない。……所詮紙切れ一枚で"夫婦"ってことになってるんだから」


「俺はつけたいな」


「じゃあ一人で勝手につけてればいいでしょ。あたしはつける気ないわ」


「なんでだよ。俺たちは夫婦だろ?」