「……これでいい?」
ゆっくりとアイツのほうに振り返る。
「いいだろう。やっと決断できたみたいだな」
口元を上げてニヤリと微笑むアイツは、あたしを見下ろすような目であたしを見ていた。
「……悪いけどこれは、アンタのためでもあたしのためでもないから」
「そんなことわかってるさ」
「……これは全部あの人のためよ。アンタのためじゃない」
「そんなに怖い顔しないでよ。まぁ悪いとは思ってるけどね」
「……ウソつき。ほんとは最初からこうなること、わかってたんじゃないの?」
「わかってたわけじゃないさ。……でも君ならそうすると思ってたよ」