「笹川、おはよう」 「……おはようございます」 朝は相変わらず冷たい。 そんなことを思っていても、結局口には出せない。 やっぱそれで嫌われるのはイヤだから。 「……先輩」 いきなり俺のほうに振り向く笹川。 「えっ、なに?」 びっくりした……いきなり振り向くなよ。 「……昨日、あの人と話しました」 「え?」 「……あの人、相変わらずでした」 「……そっか」 「でも、ちゃんと向き合えたような気がしました。あの人と」