「……うん」


「お嬢様」


「……ん?」


「咲哉様も、お嬢様のことをほんとに心配なさっていたんですよ」


「……え?」


「咲哉様は常にお嬢様のことを、頭の片隅から離したりはしませんでした。……ずっと心配なさっていました」


「……ごめんなさい。心配かけて」


「謝るなら私にじゃなく、咲哉様にですよ。咲哉様の方が私より何倍も心配なさっていましたから」


「……先輩、ありがとうございました」


「謝るな。……俺はなにもしてない」




先輩は表情を変えることなくそう言い切った。


……そしていつもと同じような笑顔で優しく微笑んだ。