「笹川、俺だけど……」
部屋の向こうから聞こえる聞き慣れた声。
「笹川……居るのか?居たら返事してくれ」
あたしに呼びかけるその声は、少しだけ震えているように感じた。
「……っ」
あたしは部屋に居ることがバレないように必死で息を押し殺した。
「笹川……もし居るなら聞いてくれ」
「…………」
「俺……ほんとに笹川に悪いことしたと思う」
「…………」
「笹川を傷つけるってことは、頭でも充分わかってたつもりだった」
「…………」
「でもそれでも、ちゃんと向き合ってほしかったんだ」
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