「……心配掛けて、ごめんね」


「ううん……」


「……笹川、ほんとによかったな」




先輩は優しい笑顔であたしを見つめていた。


先輩も……あたしのこと心配してくれてたの?




「……ありがとう、ございます」


もしかしてさっき夢に出てきた人って……。




「俺たち、医者呼んでくるな……」


先輩と莉乃はそっと病室を出て行った。




そして病室の静かな空間には、あたしとあの人の二人だけになった。


……たぶん二人とも気を遣ってくれたのかもしれない。




こうやって面と向かって話すことはなかなかないから。