「笹川……早く目ぇ覚ませ。友達が待ってるぞ」


笹川の手をギュッと握り締める。




「麻衣……早く目を覚まして」


声を掛けるけど、笹川が目を覚ます気配は一向にない。




「……なぁ」


「……はい?」




俺はずっと気になっていることを聞いてみることにした。


……でもこれは、ほんとに聞いてもいいことなのか?




「……笹川の母親は、見舞いには来ないのか?」


「……たぶん来ないと思います」


「そっか」


「……麻衣の母親は、麻衣のことなんて全然考えてませんから」