「……咲哉」 日高は切なげに、でも真剣な眼差しで俺を見つめていた。 ―――――… コンコンッ 「……はい」 いつものように笹川の様子を見に病室へと入った。 「……笹川は?」 俺がそう聞くと、莉乃って子は首を小さく横に振った。 「……そうか」 腕に巻かれた包帯が、ケガの様子を物語っている。 「……麻衣はほんとに大丈夫なのかな」 莉乃って子が目を閉じたままの笹川を見つめながらそう呟く。 「……それは俺にもわからない」