さっきから笹川は、俺の質問になんのためらいのなく答えてくれる。


……でもその表情は、とても冷たかった。




「……あんなサイテーな母親って、母親となんかあったのか?」


「あの人はあたしの母親でもなんでもない。……ただのサイテー人間」


「……サイテー?」


「ええ……あの人はサイテーな人間。心が汚い人間です」


「…………」


「……あの人はあたしのことなんて考えてない。考えてるのはお金と会社のことだけ」


「…………」


「あの人は、みんなが思ってるよりもよっぽどサイテーな人間。……お金と権力が生き甲斐みたいなものだから、あの人」