あたしはウソをついた。


咲哉に嫌われたくなくて。




ほんとは咲哉がここに来た理由もなんとなくはわかっていた。


たぶんあの子のことだろうって。




あたしはずっと咲哉のことが好きだったのに。


……なのに咲哉はあたしじゃなくてあの子を好きになった。




よりにもよってあんなに感情を失ったあの子を。


咲哉の前でも笑わないあの子を。




「ふざけんな……お前アイツになに言ったんだよ」


「……なにも言ってないよ」


「ウソつくなよ！！……そんな冗談俺には通じねぇんだよ」


「……っ」