「……なんかあったのか?」 気づいたらそう口にしていた。 「いえ……なんでもないです」 その女は涙を拭って俺から目を反らした。 「お前、授業は?」 俺はその女の隣に座り込みそう言った。 「……サボっちゃいました」 女は俺と一切目を合わせようとしなかった。 「……赤いリボンってことは、一年?」 俺がそう問い掛けると、女は小さく頷いた。 「……なぁ一つだけ、聞いてもいいか?」 「はい……」 「お前、名前なんつーの?」 「……え?」