俺にはなんのことを言ってるのかさっぱりわからなかった。




「……そうですね。でもあなたがあたしの母親だってことに変わりはありませんから。その事実はあなたの娘で居る以上変えられません」


そして俺には、笹川が深刻そうな顔をしているように見えた。




「……ですからあたしは、パーティーになんて出席するつもりはありません。一人で勝手に行ってください」


電話越しでそう告げた笹川の目は、今まで見たことがないくらいとても冷たかった。




そしてその冷たい瞳はまるで、俺に向けられているような気がした。


……理由は笹川がガラス越しで俺を見ていたから。