「咲哉」


廊下を歩いていた時、仁科に呼び止められた。




「……なんだよ」


仁科には俺の気持ちをきちんと話したつもりだ。




仁科だって俺の気持ちを理解してくれたハズなのに、なぜいまになって俺を呼び止めたのだろうか。


……でもなんとなくわかってた。




「あたしやっぱり、まだ咲哉のこと……」


アイツがまだ俺のことを好きだってこと。




「……言ったろ。俺はお前を友達以上には見れないって」


だからってこんなふうに突き放すのはよくないかもしれないけど、いまはまだなにも考えたくないんだ。