「ええ、構わないわ。あの子の人生だもの」
「……お嬢様はいまの社長をとても憎く思ってらっしゃいます。それでもそうしたいのですか」
「ええ。……あの子をお金や権力で縛り付けてしまったら、あの子はもっと私を憎く思うでしょうね」
「……だったらまずは、社長が変わっていくべきなのではないでしょうか」
「そうね……そうしたほうがいいのかもしれないわね」
「…………」
「でもいまは、まだあの子を自由にさせてあげるほどいい母親じゃないわ。……あの子は私を嫌ってるし、私を憎いと思ってるかもしれないわ」
「…………」
「でもそれでもいいのよ。……私は」



