夕飯の支度がすっかり終わってしまった頃。

森奥に進んで真っ暗になりそうなぐらいから

引き返したのだ。

サユとあたしは手ぶらでほっつき歩きました。

ケータイ一つ持っていかなかったわけだ。

まぁ、山奥だから電波も繋がらないと思う。

道路の方まで出ないとケータイはただのおもちゃ

になってしまうほど意味がない。

そこで、呑気に2人で戻ると馨君にこっぴどく

叱られました。

どうも出てから一時間もしていたらしい。

そりゃ、心配するわけだ。

ナル君には飛びつかれた。

サユと2人で困った顔を浮かべた。

先に食べててくれて構わなかったんだけどね。

お腹空いたよっていう不良メンバーズも山奥

にあたしとサユが消えたから神隠しにあった

のかと心配になって捜索しようとしていたらしい。

「ご、ごめんなさい。つい、興味本位で奥に

行ってみたらいろんな発見があって・・・」

ごめんね、馨君。

そんなに心配してくれたのね。

「もういいけどさ、日和ちゃん具合悪かった

みたいだし、帰りが遅いから何かあったかと

思って・・・」

申し訳ないよ。

あたしの弱気が招いたことだ。

サユはちっとも悪くない。

むしろ、怒られるのはあたしに責任がある。

「どうだよ、具合の方はよ?」

慶詩、カレーそんなに入れてくれたのか!!

「良くなったかな。」

えへへって笑ってカレーを口に運んだ。

「あー、良かった。

日和ちゃんって表情読むのが結構難しいんだけど

さっきは本当に心配になったから。」

馨君、そんなに酷い顔してました?

「確かに、ヒヨリンの愛想笑いは

ポーカーフェイスの象徴だ。」

ユウヤ、愛想笑いを悪く言わないでよ。