「…付き、合って…るのか?」 戸惑いを隠せない兄貴は、沙羅を抱きしめる腕に力をより一層強くした。 「いたっ…」 すると、沙羅は小さな悲鳴をあげた。 「…沙羅は、渡さない」 それだけ言うと、兄貴は沙羅を放し学校へ向かった。 「俺達も行こ」 「…うん」 あれからは、着くまでずっと無言で、沙羅は俯いてクラスに入っていった。 「――鈴…」 沙羅を見送り、俺も教室に向かおうとしたら、後ろから声がした。