たった3文字を言うのに相当どもってしまってから、私は訊ねる。



「エッチはエッチだよ。セックス」



「ちちちち……違う! そうじゃなくて。樹先輩が――」



「あぁ。


最短で付き合って1時間でヤちゃったって噂だよ?」



まるで声優やアナウンサーのような綺麗な茜ちゃんの声が、スラッとそんな言葉を口にした。



付き合って……1時間――!?



そんなこともちろん私には想像できない出来事で。



今聞かされたのが樹先輩のことなのだと思うと、泡を吹いて倒れそうになってしまう。