父の話を聞きながら、二人はまだ生まれてもいない赤ん坊の事を真剣に考えている。
それが真理子の子供だとしても、野崎の子供に違いは無い。
真理子が育児放棄したとしても、
父が味わったような不幸な子供にしたくない。
大輔と孝輔の思いは同じだ。
「俺、父さんの考えに賛成だ。
あいつが育児放棄したら父さんの子供にしよう。俺、その子を守るよ。」
大輔は、先に父が話していた養子にして育てる、と言うことに急いで賛成の気持を伝えた。
広志さんはいい人だけど…
そう、和ちゃんたちが絡むと時々おかしい事を言ったりしたりする。
まるで子供に逆戻りしたように…
「僕も… 僕も一緒に… いい。
僕… 多分ずっとこの家に居ると思う。
大輔が父さんの後を継いでも僕のこと邪魔にしないでよね。
僕、この家に居て、出来る事をする人間になりたい。
大輔と一緒に人生を歩みたいよ。
先のことは分らないけど… 今はそう思っている。」
孝輔も… 子供の時から感じていたと言う大輔の深層を聞き、
すっかり落ち込んでいた孝輔だったが、
その事は不思議と頭から完全に消えている。
そして、いつの間にか感じていた、大輔と一緒に居たいと言う気持ちを伝えている。
そう、広志さんはよい人だけど、
和ちゃんたちが絡むと、照れくさい事でもまじめな顔をして、
いや、多分とても良い顔をして、そう子供に戻ったように、同じ動きをする。
孝輔も、広志の才能には脱帽すら覚えているが…
和ちゃんや悟さんとの絆をいかに大切に思っているかは、痛感している。
赤ん坊の事は… ゲーム感覚で大騒ぎをするかも知れない。
いや、見なくても分かる。
出来なくても、それを阻止するのが僕たちだ。

