「高杉さん… おはようございます。
高杉さんも応援ですか。」
孝輔にとっては高杉も、毎年春の祭りと、夏の花火には、
野崎に集り皆と団欒をしている人なのに、
個人的には話したことの無い存在だった。
が、広志は慣れた感じで話している。
「わしは審査員の一人だよ。が、前評判では大輔が有力だぞ。
新人戦だからほとんどが二年生、皆張り切っている。
団体戦でも西部高校、今年は何とか進みそうだ。
まあ大輔の功績だがな。」
と、毎週ではないが、高校が休みの土・日の夕方、
大輔が警察署の道場へ行き指導を受けている高杉、
満足そうな笑みを浮かべて広志に話している。
「はい、今年は珍しく上位に進めそうだと校長が喜んでいました。
だから僕も卒業生として応援です。」
「そうか、広志も西部高校だったな。
孝輔は珍しいじゃあないか。 スポーツにも目覚めたか。」
高杉は当然のように屈託無く、
隣に立っている孝輔にも声をかけている。
それは孫を見つめるような優しい目だ。
孝輔は戸惑う心を必死に隠しながら高杉を見て、
「大輔の応援です。この人は友達の坂上さんです。」
と、言葉短く返事をして春香を紹介した。
それだけで精一杯だった。
「大輔の奴、喜んで余計張り切るぞ。
あいつは強いから安心して見ていられる。」
高杉は微笑みながらそう言い残し、
審査員たちの控え室へと消えて行った。

