「こちらは嘗て、大富豪の豪邸でした……」


従業員の人が話だすと、照明はますます暗くなっていく。


「ヒッ……!」


怖くなって、隣にいる楓の腕を掴んだ。


「穂香の怖がり」


静かに耳元でそう囁かれて、悔しいけどもう対抗している余裕なんてない。


プチッと目の前の昔っぽいテレビがついた。


『私は、この世の全ての財宝を手にしたのだ! ハハハハッ!』


それは何かの記者会見の様子のよう。


カシャカシャとカメラのシャッター音が鳴り響く。


ハハハハ……ん?


この笑い声どこかで聞いたことがあるような……


あっ! もしかしてさっきのエントランスで、一度入ったらどうのこうのって言ってた死神だ!


すると、いきなり映像が消えて、ザーと砂嵐になった。


「そして、この大富豪はこの記者会見の後、恐るべし死を遂げたのです……」


ロビーに従業員の人の声が響き渡る。


な、なんなの……。


設定もかなり怖いじゃない……っ!