あれ?バレマシタ?と舌を出すと、ちょうど10枚ほどのプリントを筒状に丸めたものを持っていた潤はポカリと頭を叩いた。



「あ〜さっき習った数式が飛んでった!」


「はなから頭に残ってないだろ?」


「失礼な!これでも少しは受験生なんだからね」



ベェっと舌を出すと、潤は一瞬何かを考えた後


「そういえばさぁ」


「は?」


「真琴はどこの予備校だっけ?」


「S予備校だよ」


「誰かの紹介?」


「ん?春香」


「そっか。じゃあ夏期講習の紹介制度とかってあったりする?」


「あるよ。何なら明日、書類持って帰ってこようか?」



私の提案に「頼んでいい?」って潤が聞くから「まかせて!」と頷いた。



「じゃあさ、2部頼むわ」


「2部?他に誰かいるの?」


「友達も予備校探しててさ。夏期講習受けてよかったら入ろうかって話してんだ」


「分かった。潤と一緒だったら予備校も楽しくなるかもしれないし」


「俺は真面目に勉強するんだからな」


「えへへ。分かってるって。じゃあ明日貰ってくるけど、念のため明日もう1回声掛けてね」