『卒業証書授与』



進行役の先生の声とともにA組の先生がマイクの前に立ち、生徒1人1人の名前を読み上げる。



受け取りながら泣いてる子もいれば、舞台の上からVサインを送る子といろんな人がいて、時々笑い声が漏れていた。





『B組、井上 弥生』



弥生とはひょんなことから一緒に行動するようになって、今じゃこんなに仲良くなれて。


まさか落ちこぼれの私が卒業式で答辞を述べるような超優等生と係り合う事になるなんで考えた事もなかった。



『五島 菜々美』



菜々美はクラブの時に少し会話を交わす程度の知り合いだったのに、いつの間にかいつも一緒に居て当たり前の存在になっていた。



『佐藤 真琴』



「ハイ」



立ち上がると壇上へ目線をあげ真っ直ぐ進む。


壇上では神妙な顔をした校長先生が立っていて、一礼すると以下同文という言葉とともに両手で差し出された証書を受け取る。


片方の手に持つと、校長先生は穏やかな顔をして「卒業おめでとう」と声を掛けてくれて「お世話になりました」と一礼した。