「真琴〜」



自宅で14日の本番に向けて受験勉強に励んでいた私に部屋の外から声を掛けてくれた母。



何?と振り返ると手にお守りを2個持った母がいて。



「これお父さんから。昨日渡すの忘れてたって」



差し出されたのは学問の神様で有名な神社のお守りで。



「この前の入試には間に合わなかったんだけど、今回の出張で立ち寄って買って来たみたいなの」



ハイと手渡されたんだけど、疑問は1つ。



「何で2個?」


「1個より2個のほうが御利益ありそうだからだって」



もちろん母も疑問に思ったようで、父に聞いていたらしくちゃんと答えが返ってきた。



「何か神様が喧嘩しそうじゃない?」


「大丈夫でしょ」



「帰ってきたらちゃんとお礼を言いなさいね」と母に言われ、うんと頷いた。



1人になった部屋で貰ったお守りを目の前にぶら下げてみる。



たぶん同じものだと変だと思ったのか


青と赤のお守りが振り子のように揺れていて。



「何だかお揃いみたいだ」



そう呟いた私の頭にはなぜか潤の顔が浮かんでいて。