「なぁ真琴。提案なんだけど」


「え?何?」



いつの間にか会話が終了していたみたいで、春香はノノちゃんの横に座っていた。



「俺の手、握れる?」


「は?」



ハイと目の前に差し出された大きな手を私は凝視するしかなくて。



だって、春香の目の前だよ?



「無理無理無理」


「私の前だから大丈夫だって。真琴取っ掛かりが欲しいんでしょ?」



否定したのに彼女の春香にまで言われると逃げる術がなくて。



ゴクリと唾を飲み込んで、相変わらず差し出されたままのノノちゃんの手を見る。



おずおずと手を差し出すけど、すでに手は震えていて。


小指をちょこんと握ったんだけど、ノノちゃんにぐっと手を握られたら少しだけ体が震えた。



嫌悪感はない。



けど、体が拒絶反応を起こすみたいに、自分の意志とは関係のない所で震えていて。


ノノちゃんが手を離すと、私はパッと胸の前に震える手を当てた。



やっぱ無理かも・・・



「あ〜」


「ふ〜ん」


前の2人は初めて見る私の反応にびっくりしていたものの、何か感じたようで顔を見合わせていたんだけど。