今まで聞こえなかった宮本さんの声がはっきりと聞こえて、私はやっぱり無意識で足を止めていて。



「あぁ、前からいるよ」



潤の言葉に・・・少しだけドキッとした。



「その子には・・・告白しないの?」



宮本さんの声はすでに泣き過ぎた後の掠れた声で



「そうだな。あの子の気持ち知ってるから言わないな」



あの子?



「じゃあ、どうして・・・今・・・別れよう、って言うの?」


「俺自身に嘘付きたくないから?」


「う、嘘?」


「あの子に言えないけど、俺は好きだから。


最初は宮本さんの俺に対する気持ち知ってすげぇ嬉しかったんだ。


だけど親友にさ、自分が好きじゃないのに付き合うって失礼だって言われて気付いたんだ」



その親友って・・・私?



「確かに宮本さんには失礼だって思った。あんたの気持ちはすごく嬉しかったんだけど


好きな奴がいる俺が付き合うってことはやっぱりおかしいんじゃないかって」



だからごめんと謝る潤の言葉を聞いて、私は静かにその場を去った。