「潤?」



小さい声だけど潤の声が聞こえた気がした私は、声の方へ歩いて行くと



ちょうど腰掛けていた側と反対の校舎裏に潤とF組のチームカラーである白のセーラー服っぽいデザインの衣装を着た宮本さんがいた。



やばい!


これはまずいぞ!



宮本さんが泣いているのを見た私は気付かれないように後ずさろうとしたけど



「やっぱ俺、無理だから」



潤の言葉に足を止めた。


宮本さんは泣きながら小声で話してるみたいだけど、全然聞こえてこなくて。


私は『無理だから』の言葉が耳から離れなくて。



「1年間って言われてOKしたけど、やっぱ好きじゃないのに付き合うっておかしくね?」



潤の言葉だけがはっきりと私に届いてくる。



その後は、は?とか違うって!とかだからとかの言葉しか聞こえないから、宮本さんの問いかけに答えてるみたいだけど。



ハッと気が付くと、明らかにこれは立ち聞きという、やってはいけない事だと思い少しずつ足を動かそうとした。



「やっぱり潤には好きな人がいるの?」