「ちょっと待ってよ」



聞きたい事が山ほどあった私は、深呼吸していた緊張をすっかり忘れて教室へと飛び込んだ。



「あっマコちゃん、おはよう」



「真琴、おはよう」



クラブの時、時々話した事のある友達に「ういっす!」と挨拶を返しながら、黒板に書かれている席に鞄を置こうとする。


と、すでに先客がいて。



「おはよう。あのぉ鞄置かせて欲しいんですけど〜」



「どうぞ」



きっとTVに出ている、某有名人のように笑った白い歯がキラリとしそうなぐらい(古い?)の眩しい笑顔で


私の席の机に座っていた男の子は少しお尻をずらしてくれた。



「ちょっと!佐藤さん近すぎ!」


「朝から野々宮さんと会話できるなんて羨ましすぎ!」


「いいなぁ私も光先輩とお近づきになりた〜い」



ギャーギャーとうるさいなっ!



私の席なんだから、別にあんた達にとやかく言われる筋合いないし。



ってか・・・あんた達誰?


第一、 この男に私は興味がないんだから。