「いったぁ……」


 そう呟き、テキストを持っていない左手で頭をおさえ、振り向いた。


 そこには、150センチ程度しかない紗耶香を見下ろすようにして、1人の青年が立っていた。


 目が細く少しつり上がっているのが原因で

睨まれていると勘違いした紗耶香は2、3歩後ずさりした。


 その瞬間、青年のシャツのボタンにからまっていた紗耶香の髪がピンと張り


「痛いっ!」


 と、また表情をゆがめた。