19の夏~私の愛した殺人鬼~


「沙耶香……」


 耳元でそうやって囁かれると、胸の奥の方から熱いものがグッとこみ上げてきて、沙耶香の瞳がうるんだ。


 栗田が爽香の腰に手を回し、そのままソファへ2人して倒れ込んだ。


 2人の鼓動が早くなり、部屋の電気が消される……。


 微かなクラシック音楽だけが爽香の耳に届いていたが、こすれる布の音でそれもやがて掻き消された……。