19の夏~私の愛した殺人鬼~


「本当だ、本当なんだよ!」


 必死に説明を続けていた発見者が、幸也の肩をわしづかみにして訴えた。


「誰も嘘だなんて言ってないでしょう。

あなたの話はわかりましたから」


『わかりました』と言いながらも、突き放すような冷たい口調に、男はグッと唇を噛み締めて押し黙ってしまった。


「どう思う?」


 隣で一緒に話を聞いていた新田が、口を開いた。


「どうもこうも。

これは俺が担当する分野の話じゃない」


「そんな事わかってる。

だけどな、警察はこんな馬鹿げた証言に付き合ってられないんだよ。

幸也、お前はまだ警察の人間じゃない。

身に染みてわかってるはずだろ? 

どんな小さな可能性でも見逃せない、捜査の大切さを」