後ろからは血なまぐさい匂いが漂ってくるし、まるで俺が自分で奈々子を殺しちまったような錯覚に襲われた。 俺は、運転席から冷たくなった奈々子の体にそっと触れたんだ。 触れた体は完全に死後硬直していて、俺はその時はじめて奈々子が死んだのだと痛感した。 名も知らない土地で、大好きな女の死体と一緒にいた俺は、後先のことなんて考えちゃいなかった。 今こうしている間にも俺のアパートには警察がきて、俺が犯人として指名手配されているかもしれねぇのにな……。